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BEST BOOK 2015(順不同)



遅ればせながら「ベストブックス2015」の発表です。昨年は本当に本を読む時間が少なかった。新しく購入するというよりも、書棚にある佐々木中さんや保坂和志さんの書籍を再読するのが関の山という体たらくだった訳だ。あれだけ話題になった『火花』を読み終えたのも、つい先ほど。ついでに言うておくと『火花』は文句なしに面白い。導入部の「楽しい地獄」という一言で一気に惹き込まれ、途中でテンションが下がることもなく、あまりに美しいラストへと雪崩れ込む。こんなに「純」粋な「文学」を読んだのは久々だった気がする。寝ても覚めても本を読んでいた20代の頃の自分を思い出したりもして、何度もグッとくる瞬間があった。対極にあるのが『学校の近くの家』だろう。例によってコンセプチュアルな内容で、又吉さんの筆致とは異なり感情の沸き立つ瞬間など皆無である。ただべらぼうに面白い。『火花』の面白さはいくらでも語って聞かせることができるけれど『学校の近くの家』での魅力を、まだ読んでいない方々に伝えるのは至難の業である。どちらが良い悪いというのではなく、どちらも言葉の羅列のみで立ち上げる世界なのだと言うことに感動するのだ。『鳥の会議』は山下さんが、大衆よりの内容に挑戦したものであるが、いつもと大して変わらないというか、いつも以上に分かりづらくて、この人もやっぱりアホやなぁ(最高の賛辞)と思った。『電車道』は磯崎さんの最高傑作だと思う。本書には人間とその営みが生々しく刻み付けられていて、しかも過去ではなく現在にまで差し延べられた架け橋だと言う一点につき心底、驚愕する。そして例年になく坂口恭平さんの生み出す言葉や世界、生活様式そのものに惹かれ続けた一年だった。彼は紛れもなく熊本に留まる冒険者だ。移動によってのみ視点が変わる訳ではない。日常にはいくつものレイヤーが潜んでいて、自分たちが如何に画一的で表層的な社会に埋没しているのかを教えられる。小説も良いけど、より坂口さんの日常が味わえるエッセイが最高。最近は両者の隔たりがほとんど無くなってはきているんだけれど。そしてカート・ヴォネガットの遺作は再読によるランクイン。ここぞというタイミングで本書を手にした自分を褒めたい(笑)。それでもやはり圧倒的、ダントツだったのが誕生日に妻から貰った小島信夫さんの『寓話』だ。内容を伝える言葉など、とうに放棄している。時間藝術として、前人未到の領域で言葉を置き去りにする小島さんの凄さに打ちのめされるしかない。こういう本をきちんと自費出版してくれた保坂和志さんも本当に凄い。読んだ本の数は少ないものの、良い作品に巡り合えた。

「必要がないことを長い時間かけてやり続けることは怖いだろう?一度しかない人生に於いて、結果が全く出ないかもしれないことに挑戦するのは怖いだろう。無駄なことを排除するということは、危険を回避するということだ。臆病でも、勘違いでも、救いようのない馬鹿でもいい。リスクだらけの舞台に立ち、常識を覆すとことに全力で挑める者だけが漫才師に成れるのだ。それがわかっただけでも良かった。この長い年月をかけた無謀な挑戦によって、僕は自分の人生を得たのだと思う」。又吉直樹『火花』より。

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書棚を物色する史苑。『いい子は家で』『世紀の発見』の装丁がお気に入り。
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未分類 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2016/01/20 22:33
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